山田 真哉『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?』
10年以上前のベストセラーを今さら読んでみました。
サブタイトルに『身近な疑問からはじめる会計学』とありますが、これはウソ。この本を読んでも会計学は身につかないでしょうね。
スタートラインに立つ前の本、「会計学っておもしろいかもしれないな」と思うための本ですね。
新書ですが、内容は会計士のエッセイといった感じです。
エッセイとして読めば、なるほどこういう考え方をする人もいるのか、という発見があっておもしろいです。
ぼくは、自分では合理的な生き方をしている人間だと思っていたのですが、この本を読んで「いっときの感情で動いて会計的に合理的な判断ができていなかったなあ」と反省しました。
ぼくなんかまさにこのタイプですね。
お菓子を買うときなんかは「こっちは120円もするのか……、じゃあ100円のほうにしとくか」なんて節約してる(そもそもコンビニでお菓子をいっぱい買いこんでるのにそれが節約になるのか、は置いといて)のに、飲みに行ったときは「いいよいいよ800円くらいの端数。出しとくよ」って言っちゃうし、旅行に行ったら「せっかくの旅行だからケチケチしたくないよね。1万円高いほうのプランにしとこう」と豪気(1万円ですけど)な会計をしちゃいます。
ふだんの節約がふっとぶ、それどころかトータルで見たら大赤字ですよね。
これで自分のことを合理的と思ってたんだから、恥ずかしいかぎりです。
数字をつきつけられないと、なかなか自分の愚かな行動ってわからないもんですね。
これもぼくが頻繁に陥るワナです……。
1個あたりの単価が安いものを買って、「いい買い物をした」と満足してしまうパターン。
単3電池を買いに行って「どうせいつかは使うものだから」と30本入りくらいのやつを買ったことがあります。
で、年に数本しか使わなくて、ふと見たら保存状態が悪くて残りのやつは錆びてる。液漏れが怖くて使えない……。
まさに「大量に仕入れたことで失敗している」パターンですよね。
必要な分だけ買えばいいんだけど(ぼくがまとめ買いをしちゃうのは出不精だから、って理由もあります)。
会計下手なぼくでも、一応個人としては今のところ借金もせずに生きていくことができています(本以外に趣味がなくてあんまり使わないからね)。
でもぼくが経営者だったら企業はすぐにつぶれちゃうだろうなあ。
びびりだから思い切った投資はできないし、銀行からお金を借りるのが嫌だから出すべきところでケチケチしちゃうだろうし……。
マイナスが良くないというのはぼくでもわかるんですが、利益を出しすぎるのも良くないんですね。
個人だったら、所得には税金がかかるけど貯金にはかからないから、どれだけ貯めても貯めすぎってことはないんですけどね(死んだら相続税で持っていかれちゃうけど)。
多すぎず、少なすぎずのところに持っていくっていうのはしんどそうだな……。
ぼくは「予算10万円でやりなさい」って言われたら「予算オーバーしちゃいけない」という気持ちが強すぎて7万円くらいのところに抑えちゃうタイプなので……。
つくづく「自分は企業経営に向いてないんだな」ということを知らしめてくれる本でした。
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