西原 理恵子・高須 克弥『ダーリンは70歳/高須帝国の逆襲』
共著という形をとっていますが(そしてサイバラの名前が先にクレジットされていますが)、内容はほぼ高須克弥の語り下ろしのみ。
Kindle Unlimitedで無料だったのでぱらぱらっと読んでみたのですが、すっかり現役第一線から退いて楽屋ネタで安易な金儲けを覚えてしまったサイバラにはほとんど期待していませんでした。
でも高須克弥の語りが存外おもしろくて、結局最後まで読んでしまいました。
(サイバラのマンガのほうは予想通りひどかった。昔は笑える手抜きマンガを描いてたけど、笑えない手抜きになっちゃったなあ)
高須克弥さんといえば包茎手術と美容整形で莫大な財を成した人。
その高須さんが自伝と近年の心境について、赤裸々に語っています。
赤裸々すぎて部落差別に該当しかねない表現があったため絶版になったそうですが、ふつうにKindleで読めます。
高須さんについてぼくは「モラルにとらわれずに金儲けをする人」というイメージがあったのですが、いろいろと信念があることもわかりました。
「『大きすぎる鼻を小さくしたい』というコンプレックスを解消する手術はしてあげたいが、『芸能人の○○みたいになりたい』という悩みは不自然だし時代に合わなくなるのでやりたくない」とか(でも頼まれたらやるんでしょうが)。
整形に対するボーダーラインってけっこうあいまいですよね。
「絶世の美女になりたいから手術する」に眉をひそめる人はまだまだ多いけど、「顔にある大きなほくろをとりたい」だったら「しょうがないかな」ってなる人も多いのではないでしょうか。
これが「交通事故に歪んでしまった顔を前の状態に戻す」形成手術だったら、反対する人はまずいないでしょうし。
でもここの線引きってすごく難しい。
悩んでいる本人にしたら「一重まぶただ」「鼻が少し低すぎる」ってのも「交通事故で顔が歪んでしまった」と同じくらい深刻な悩みなんでしょうし。
これは残酷だけど真実だなあと、つくづく思います。
ぼくはいま三十代半ば。
学生時代の友だちもだいたい結婚しましたが、1割か2割くらいはまだ独身です。
そんな独身の友人を見ていて思うのは、
「男の独身は、ほとんどがモテないから結婚できない。ごく一部が、モテすぎて遊びたいから結婚できない」
「女の独身は、若い頃ずっとモテてきたやつが多い」
ってこと。
これはたまたまかもしれませんが、ぼくの中学時代にいちばんモテてた女性と、高校時代にいちばん人気だった女性が、どっちもまだ独身なんですよ。
当人たちに結婚の意思はあるらしいんですが。
もちろん彼女たちは、学校を卒業してからもずっといろんな男から言い寄られる人生を送ってきたことでしょう。
それがまあ、三十歳を何年か過ぎてもまだご成婚なされていない、もっと直接的な表現を用いるならば「婚期をお逃しになった」のは、「モテすぎた」からだと思います。
家電を買おうと思って大型電器店に行ったら何百種類もあってかえって決められないけど、そんなに大きくない電器屋だったら十か二十くらいの選択肢しかないからすんなり決められるっていうあの現象です。
汚い関西弁で言うなら「値打ちこいてた」ってやつです(「値打ちをこく」は、もったいぶる、に悪意をブレンドした表現です)。
あまり値打ちをこかずに、ほどほどの男で手を打っといたほうがいいですよ!
たとえばぼくとかどうですか!
一応結婚はしていますが、そういうことになるのはやぶさかではないですよ!
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