2016年5月9日月曜日

【エッセイ】寿司おしえます

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ぼくの夢は「寿司をおしえる」ことだ。
それも、とびきりえらそうに。


寿司屋でひとり、寿司を食うぼく。
たまたま隣に、外国人客が座る。若いカップル。大きな荷物を持っているから旅行客なのだろう。

お品書きを見ながら、ひそひそと小声で話しあうカップル。
どうやら寿司屋に入ったものの、どうやって頼んだらいいかわからなくて困っているらしい。

お品書きは日本語のみ。
おまけに「えんがわ」「ねぎとろ」「あなきゅう」など、辞書にも載っていないような名前が並んでいる。
困惑しないわけがない。

「どうしよう。ぜんぜんわかんない」
 「上から順に頼んでみようか」
「でも。クレイジーなメニューだったらどうしよう。ピカチュウの頭部とか」
 「おーまいがー」

みたいな会話をしているにちがいない。


絶体絶命の大ピンチ。
そこへ優しく声をかける、ジャパニーズ・クールガイ(ぼくのこと)。

「へいどうしたんだい、そこのトラベラーズ?」

「まあ。地獄でブッダとはこのことだわ。たすけて、オーダーの方法がわからなくて途方にくれてるの」

「なんだ、どんなダイハードな事態かと思ったらそんなことか。おやすいごようだ。オーケー、ぼくが寿司のオーダーという方程式を鮮やかに解いてみせよう。まずは無難にサーモン、ほんのちょっとだけソイソースをつけて食うべし。それから甘いソースのかかった蒸しアナゴ……」

とえらそうな顔で寿司の食い方とうんちくをレクチャーし、尊敬のまなざしを受けるのがぼくの夢だ。




とはいえ、たいていの夢がそうであるように、ぼくの夢もかんたんには叶えられそうにない。
まずぼくは外国語が話せない。英語ですらニューホライズンレベルだ。
それから寿司通でもないのでうんちくなんかひとつも知らない。
あと出不精だからひとりで寿司屋なんか行かないし、人見知りだから隣の客が困ってても話しかけたりもしない。

なんと道が険しいことか。

というわけで、ひとなつっこくて、ぼくの説明に対してややオーバーめに感心してくれて、日本語が堪能で、でも寿司のことだけは何も知らない外国人がいたら、ぼくのところまで!!
待ってます!
こっちからは声かけないです! このエントリーをはてなブックマークに追加

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